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・とうじそばの伝統
奈川では、そばのことを「ソバキリ」といい、古くからそば料理の最高のものとされてきました。奈川のおばあちゃんの話によると、一番古い記憶では、昭和15年頃祝いの席で囲炉裏に鉄なべを吊るして、とうじそばの椀を配る手伝いをした記憶があるとのことでした。具はキジの肉で味をつけるのが最高といわれ、キジ肉とニンジン、ネギ、かんぴょうなどの野菜をいれて作り、醤油が使われました。そばは切れやすいので、長芋、ワラビ粉を混ぜてつなぎとし、小麦粉を含めるのは腕が悪いものと言われたそうです。
食べるときは、盛り付け係りがいて、刻まれたそばを適当な量にとり、用意してある汁に浸しただけで次々に配り、最初に盛って配られた椀を個人のものとし、2杯目からは盛り付け専用の椀にして順次配り、この椀から持っている椀に移してとり、椀は元に返し、再び盛り付けして回してよこすというのが一般的なやり方でした。5杯ぐらいが普通で1人5合食べると言われ、汁や具を要求する人はそば通ではないとされました。そばに風をあてると味が落ちるということで、早く食べさせることも盛り付け役の腕でありました。1杯のそばを3回くらいで呑み込む人も多かったので、盛り付け役は5人ぐらいの人に配るのに精一杯で10人にもなると大変なことでした。ソバギリはケの食事というよりも祝い事や年取り(年末・大晦日)などハレの食事として振舞われました。つゆの旨味とそばの香りが食欲をそそる野麦峠の里に古くから伝わる伝統の味です。
・食べ方
竹で編んだ柄杓型の「とうじかご」にゆでて小盛にしたそばを少しずつ入れ、季節の野菜・山菜やきのこなどを入れた醤油仕立ての温かい鉄鍋にさっと浸し、椀に盛って、
汁と具を入れて食します。
(奈川村詩「奈川」民族編より一部抜粋)
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